シニアはプロテイン・ファースト、若者はベジファースト

アクティブシニアは良いとして、
シニアは人によって、早い時期から食が細る方もいます。
シニアは若い頃と食べ方を変えるべき時もある

食べる量が少なくなり、不安になってきた時は、
食べる順番を変えてみることで、
栄養不良のリスクを下げることができます。
勤めていた病院では、
入院患者さんの1割強は
低栄養リスクが高いため、重点管理されていました。
NST(nutrition support team)という栄養サポートチームが、
多職種で知恵を持ち寄って栄養状態を底上げしていくというケアをします。
そういう時、
医療スタッフは、
料理を食べる順番を変えるよう働きかけたりします。
一人で自立して食べられる方には
「この大きなお皿から召し上がってくださいね。」
介助が必要な方には、
大きな主菜皿から口に運ぶよう意識します。

つまり、
若者やダイエットとは違い、
「野菜から食べる」ということをせずに、
タンパク源から摂るように働きかけます。
ビタミン・ミネラルは、
補充しやすい栄養素ですが、
タンパク源は、
食べられるなら
口から摂るのが一番効果的です。
難しい場合は、
タンパク質が強化されたプリンやゼリー、豆腐等の栄養強化食品や、
濃厚流動といったドリンクを追加することもありますし、
プロテインパウダーなどを用いることもありますが、
タンパク質の補充量は限られてしまいますし、
味が合わない、という患者さんもいらっしゃいます。
なかなか難しいのが、タンパク源の確保なのです。
できれば、タンパク質はおかずから摂る、というのが負担のない
一番効率的な摂り方です。

「最近、食が細ってきたな」と思ったり、
周りの家族が気づいたら、
大事なものから食べる、という順番を意識すると良いと思います。
まず肉、魚、卵、大豆。
それから主食。
最後に野菜料理。
この順番が、食が細っている時に、
低栄養にならないための予防策です。
主食と野菜の順番は、前後しても問題ありません。
体重の落ち気が早い方は主食を先に、
体重を維持できているなら、
プロテインファーストを守れば順番はそれほど影響しません。
痩せてしまった人は入れ歯も合わなくなり、さらに食べられなくなる

ときどき、
タンパク源は、
噛みきれないものもありますよね。
お肉が硬い
食の細った高齢者は、
咀嚼力も落ちていたり、
すでに痩せてしまっていて、
義歯が合わなくなってしまっている方もいます。
入院中の患者さんの場合は、
そういう時は歯科にかかります。
義歯調整には時間もかかりますが、
その後に食事量が増えていく例はよく見られます。
食が細っている時は、
かかりつけの歯科に行くことも面倒に感じるかもしれません。
手間もお金もかかりますが、
入れ歯を調整して食べられるようになる患者さんが多いことを考えると、
頑張って歯科受診してみるのも良い方法だと思います。
手軽に摂れるタンパク源は?
一汁三菜にこだわる必要はありませんし、
旅館の朝食のように、ずらっと皿数を揃える必要もありません。
タンパク源は、
肉・魚・卵・大豆製品・乳製品に多く含まれます。

調理の手間要らずで、冷蔵庫にストックしておきたいものは、
たとえば、
- 納豆
- 豆腐
- 卵
たとえば、
- 納豆も豆腐もそのまま食べられますし、
- 卵かけご飯でもいい、
- ゆで卵を3〜4日分まとめて作って
カラ付きのままボールに入れておけば楽ですし、 - 温泉卵にしておいてもいい。
食欲のない入院患者さんに人気の一品

温泉卵は炊飯器で簡単に作れますよ♫
炊飯器に卵を並べ、かぶるくらいの熱湯を注ぎ、
保温で15分前後放置しておけば出来上がり。
何となく食欲がない、
といういう時、
入院患者さんでも、温泉卵を希望される方はとても多いのです。
口当たりよくつるっと入るからでしょうか。
炊飯器で作る方法を覚えると、
一回作って冷蔵しておけば数日持ちますので、
心強い一品です。


タンパク源はどれくらい必要かというと、
医師から腎機能低下を指摘されていなければ
簡単な目安は、毎食手のひら1つは確保したいですね。
一日で手のひら4つ分が目安です。
たとえば、
- 卵1個
- 豆腐100g(正方形で3段くらいになっている商品が目安)
- 納豆1パック
- さらに、肉または魚手のひらサイズ。
これくらいが目安です。
いかがでしょうか?
足りてますか?

腎機能低下を指摘されている場合は、
詳しい目安量の説明がきっと医師か管理栄養士からあると思います。
腎臓が元気で問題のない場合は、
上記の手のひら4つ分を一日の目安量すると簡単ですよ。
以上、
シニア世代には、
ベジファーストより、プロテインファーストがおすすめ、というお話でした。


