生活習慣病の退治

10食後高血糖を抑えれば眠気覚ましのコーヒーは不要③

目安時間 12分
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この記事では、生活習慣病を退治する方法をご紹介します。

 

 

前々回から、

血糖コントロールに役立つ記事を、3本立てでご紹介しています。

 

 

今回はその最終回。

この記事でお伝えするのは、

栄養素別の、食後の血糖値の変化です。

 

 

前回の復習

エネルギーを生み出す三大栄養素の、血糖への変換率は?

 

 

軽く復習です。

 

 

体に欠かせない五大栄養素のうち

エネルギーを生み出すものは、

 

  • 炭水化物
  • タンパク質
  • 脂質

 

です。

 

 

 

この三大栄養素が血糖へ変換する割合を、

前回の記事でご紹介しました。

すなわち、

 

炭水化物(の中の糖質) →   100%

タンパク質       → 50〜60%

脂質          →    10%

 

です。

これが大切なポイント☝️

 

 

 

では実際にご飯を食べた時に、

血糖はどれくらいの時間をかけて上昇し、

そして何時間くらいで血糖は下がるのでしょうか?

 

 

栄養素別の食後の血糖値変化

三大栄養素別の血糖値の変化を見てみよう♪

 

 

 

この図を見ると、

 

 

🔵糖質は、

食後20分後くらいから急上昇し、

1時間くらいでピークを迎え、その後急降下しています。

 

 

🔵タンパク質は、

緩やかに上昇し、

ピークは食べてから2〜3時間、

その後緩やかに下降しています。

 

 

🔵脂質は、

さすが10%しか血糖へ変換されないので、

血糖を大きく上げることはありませんが、

じわじわ上がり、長時間かけてじわじわ下がっていきます。

 

 

 

 

この図、素晴らしいですよね。

 

 

 

 

糖尿病患者さんの中には、

夕食に揚げ物三昧の高脂質食を食べた翌朝は、

いつもよりも血糖が高い、

ということを教えてくれます。

 

 

これはなぜかというと、

高脂質食を摂ると、

血糖がじわじわ上がり、じわじわ下がり、

たった10%の血糖変換率ですが、

やはり翌朝まで残ってしまうようです。

 

 

ランチのメニュー選びで午後のパフォーマンスが決まる!

ランチに糖質onlyのメニューを食べると、眠気が取れるのは夕方⁈

 

 

もし普段、

12時すぎに昼休憩を開始し、

ランチをとった後の14時になる前くらいから、

 

 

「何となく頭がスッキリしない、ちょっとだるい」

「コーヒーを飲んでもまだスッキリしない」

・・・夕方になって、

やっとやる気が出てくる・・・

 

・・・なんていう日が続いているとすれば、

 

 

 

 

食事のメニュー選びを工夫することで、

だるさや眠気から解放されるかもしれません。

結構な確率で解消されると思います。

 

 

 

毎日、せっかく食べたランチが理由で、

午後のパフォーマンスが落ちてしまうのは勿体無い気がします。

せっかく食べた食事が原因なんて・・・。

 

 

 

 

先ほどの図を見てみると、

 

糖質中心のメニューを摂ると、

血糖は食後速やかに上昇し、速やかに下降します。

 

この時に眠くなったりしますよね。

午後のパフォーマンスが落ちるのです。

 

 

 

 

例えば、

  • ざるそば大盛りを単体で食べたり、
  • 菓子パン2〜3個のランチだったり、
  • おにぎり+パン+微糖コーヒーとか、

これらの組み合わせは、食後の過血糖が見られやすいメニューです。

 

 

 

 

よく、

単品ではなく定食を選ぼうと聞きますが、

あれの理由は、食後高血糖の抑制と、

色々入っているのでバランスを取りやすいというのが理由です。

 

 

 

例えば、

定食でなくても、

単品メニューの中で工夫できることもあります。

 

 

ざるそばより、

タンパク源が入っている月見そばがいいとか、

何でもいいのですが、

炭水化物だけの内容にならないような工夫はできると思います。

 

 

 

もう一つできる工夫は、

食べる順番を考える、という方法です。

 

 

少し前に、「食べる順番ダイエット」が流行っていた時期がありましたが、

順番を考慮することには大きなメリットがあります。

 

 

ベジタブルファースト、カーボラストが最強。

中間は自由でいいとして、初めはベジ、ラストはカーボ。

 

 

そもそも野菜料理のないメニューでは、

この順番を考慮することができないので、

可能なら野菜料理を含む内容にしよう、という前提での話になりますが、

 

この食べる順番というのはとても大切です。

 

 

 

胃袋に、まず野菜をはじめに詰め込んでしまうことで、

胃のなかに停滞する時間の長い食物繊維が、

食後の高血糖を大きく抑制してくれます

 

 

 

野菜メニューがなかったら、

メインの肉か魚か大豆などのタンパク源を食べてから、

最後に主食を摂る、という方法もおすすめです。

 

 

とにかく、100%血糖に変わる炭水化物を最後に持ってくる

という工夫は、

食後の高血糖抑制に大きく貢献してくれます。

 

 

 

 

以上が、

栄養素別の、食後の血糖値の変化です。

 

 

糖尿病でなくても、

食後の行き過ぎた高血糖は、

血管の内皮細胞を傷つけ、動脈硬化を進展させる要素となります。

 

なるべく血糖の大波を作らないような、

スパイク高血糖にならないような食事が健康寿命の延伸には最適です。

 

 

 

 

 

 

ここまで述べてきた10個の記事は、

万人に共通する遺伝子に合わせた食べ方であると言えます。

免疫も上がります。

 

 

 

10記事をまとめて簡単に言えば、

  • 昼行性のリズムに則った食事スタイルを構築し、
  • 夕食から翌朝まではきちんと絶食時間を作り、
  • そして血糖値の乱高下を防ぐような食べ方をする。

 

これが、カラダを守る食事の基本スタイルです。

 

 

 

これらを継続することが健康寿命の延伸につながります。

 

 

個人的にはこれまで、

「健康寿命の延伸」という言葉にピンとくることがなかったのですが、

40代半ばとなった今、

「若返りの食事」という言葉の方が嬉しい響きがします😊

 

 

要は、

  • 昼行性のリズムで生きて、
  • 夜間絶食時間を設けてオートファジーを働かせ、
  • 血糖スパイクを防ぐ食事をする。

 

 

 

 

・・・

そうだ、一つ伝えそびれていました。

 

 

 

 

食後高血糖により、眠気が出てしまった時は、

コーヒーを飲むよりも、

身体を動かした方が効果的です。

 

 

 

コーヒーを飲んでから約20〜30分すると、

カフェインの血中濃度が上がり始め、眠気覚ましの効果を感じられるようになります。

 

 

しかし高血糖で眠気が出ている程であれば、

カフェインよりも、動いて筋肉を刺激した方が早く血糖が下がります。

 

 

動くことで、筋肉細胞がブドウ糖を血中から取り込みますので、

血糖が下がる、という流れです。

 

 

だから、食後は座ってばかりでなく、

食後少ししたら動く。

その方がお手軽かなと思います。

 

 

病院の入院患者さんでは、

病棟を何周かするだけでも血糖の下降が見られましたので、

 

座っているより、

筋肉を使って筋肉細胞に血糖を下げてもらいましょう。

 

 

 

 

ということで、

ここまで、基本的な10項目についてお話ししてきました。

 

 

この10項目は、どの生活習慣病でも基本となる食事の考え方です。

 

 

次からの記事でも

引き続き、生活習慣病の退治に役立つ内容をご紹介していきますね。

 

 

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この記事を書いた人

村上裕梨
村上裕梨

1981年生まれ。父の海外赴任に帯同し、中学時代をタイ・バンコク日本人学校で過ごす。 料理好きの母の影響と、バンコクで触れた世界各国の食文化をきっかけに、食の世界に興味を抱く。 「医食同源」──食の持つ力に魅せられ、管理栄養士となる。 委託給食会社で病院給食業務を2年経験したのち、東京都千代田区の急性期総合病院に転職。 以降20年にわたり、乳児から超高齢者まで、ICU・内科・外科・がん緩和ケアを含む29科の栄養管理に従事。 医学雑誌・医学書・論文執筆、学会発表を多数経験。 2025年、義両親の介護を機に退職。 現在は夫と3人の子どもとともに、瀬戸内海の島を拠点としながら東京都千代田区との二拠点生活を送っている。 医療機関を離れた今も、生活習慣病の予防・改善を目的とした食事療法の普及に取り組んでいる。

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村上 裕梨
Yuri Murakami

【プロフィール】

公的医療機関20年勤務
管理栄養士


病院勤務22年

乳児から超高齢者、ICUから内科・外科・緩和ケア病棟まで
29の診療科の栄養管理に従事。

【略歴】

2003年 委託給食会社に就職
2005年 東京逓信病院に入職
2025年 介護のため退職


【保有資格】

管理栄養士免許

《認定資格》(2025年現在)
糖尿病療養指導士、がん病態栄養専門管理栄養士研修指導師、病態栄養専門管理栄養士、NST専門療法士

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