生活習慣病の退治

5. シフトワークから身体を守る食事法とは?

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ここでは生活習慣病を退治する方法をご紹介します。

 

 

前回は、

機内食で時差ボケを解消する方法をご紹介しました。

シフトワーカーにも応用できる内容ですので、

 

今回は、

シフトワークから身体を守る食事法についてご紹介します。

 

 

シフトワークが身体に与える影響

シフトワーカーは病気になりやすい⁈ その実情は?

 

 

私たちの社会は、シフトワーカーによって支えられています。

 

医療・介護の従事者や、工場勤務、警察官やサービス業、

長距離トラック運転手など

様々な業種でシフトワークが行われています。

 

 

しかし一方で、

シフトワークによる健康障害に悩む方も多くいるのが実情です。

 

 

シフトワーカーの死亡率は、

全体としての危険度には違いがみられません。

 

 

しかし、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患に限ると、

シフトワーカーでは2倍以上の死亡率が認められています。

 

 

また、BMIが26以上の肥満者も多く

看護師の調査では、乳がんや子宮がんの発症率が上がったり、

飛行機のパイロットでは、

前立腺がんのリスクが高いことなども知られています。

 

 

これらはシフトワークによる体内時計の乱れが

原因であると考えられています。

 

 

シフトワーカーにとって一番大切な食事の考え方とは?

時間栄養学を活用した、シフトワークから身体を守る方法

 

 

夜勤や宿直勤務を含む変則的なシフトワークは、

体内時計を見出しやすいことが分かっています。

どのような対策を取ることができるのか、考えてみたいと思います。

 

 

まず、体内時計にも個性があることが分かっています。

体内時計の個性をクロノタイプと呼びます。

 

 

体内時計には、朝型・中間型・夜型の3つの種類があります。

これを知る方法は、

休日の睡眠状況から推しはかることができます。

 

 

簡単にいえば、休日でも早寝早起きなら朝型、

休日に遅寝遅起きなら夜型である、と表現できます。

 

 

シフトワークの夜勤を考える場合、

クロノタイプが夜型の方は、

それほど大きな苦痛を感じることなく勤務することができますが、

逆にクロノタイプが朝型の人は、夜勤に大きなストレスを感じます。

 

 

シフトワークを設定している会社側が、

個人のクロノタイプを考慮しながら

シフト勤務をスケジュールしてくれるといいのですが、

そこまでの配慮は難しいことの方が多いと思います。

 

 

 

 

その場合に

個人が取れる最大の対策は何かというと、

時間栄養学を応用して、

勤務に合わせた食事スタイルを作ることだと考えます。

 

 

つまり、

前回の記事「機内食で時差ボケを解消する方法」

でご紹介したような、

「現地時間に合わせた食事」です。

 

 

これを「勤務時間に合わせた食事」に変えて考えることが一番の対策です。

 

 

「仕事(夜勤など)を始める時間が、私にとっての朝だ」、と

身体が認識するように食事を取る方法です。

 

 

シフトワーカーにおすすめする、具体的な食事のとり方

シフトワーカーに多い肥満を防ぐことにもつながる、おすすめの食べ方

 

そもそもの大前提として、

「体内時計は、一日2〜3時間しか調整できないということです。

 

 

前回の記事でも

時差ボケが想定される場合は、

2〜3日前から一日2時間くらいずつ時間をシフトするとよい、

ということをお話しました。

 

体内時計は、一日につき2〜3時間動かすことができます。

 

可能であれば、シフトスケジュールを見ながら

事前に起床・就寝時間を調整する、というのがまず一番

 

 

次に考えるべきは、食事をとる時間枠です。

 

 

 

例えば、夜勤を考えてみます。

 

夜勤の勤務が18時から始まるとしましょう。

以下の流れで考えると肥満を予防することができます。

 

1.

まず、勤務前に食べる食事を朝食と考えます。

例):17時に朝食

2.

夜勤が終わる前の食事を夕食とします。

朝食から考えて12時間以内に食べ終えます。

例):朝5時までに夕食を食べ終える。

 

3.

夜勤途中の22〜23時のランチに相当する食事は、

高エネルギーな内容とならないように注意し、

もし空腹感が少ないのであれば軽めにする。

 

 

以上の流れが、シフトワークで起こりやすい

肥満を予防する基本的な考え方です

 

 

食事の時間枠を設定するのは、

はじめの方の記事でご紹介した「オートファジー」の

考え方です。

 

空腹時間を設けることの必要性をお伝えしましたが、

夜勤の場合も、

一般的な日勤帯の時間とは異なりますが、

食事をする時間帯(時間枠)をきちんと設定した上で、

空腹の時間を設けることが大切です。

 

 

 

これまで、

シフトワークに伴う肥満症に悩む方を大勢見てきました。

 

 

伺ってみると、

共通する「悩ましい食べ物の誘惑」は、

 

  • ランチに相当する22〜23時頃の夜食と
  • 夜勤明けの甘いもの

のようです。

 

 

休憩時間帯にこってり系を食べていたナースは、

内容をセーブすることで

体重がスムーズに落ちる例はたくさんありましたし、

 

 

夜勤明けの院内売店のスイーツが習慣化していたナースも、

高エネルギースイーツでないものを選ぶことで

体重減少を得ていました。

 

何かを辞める、というより、

違うものに置き換えることができると、

シフトワークによる肥満症の予防にもつながります。

 

 

自分にフィットするシフトワークの食べ方や、

身体を労わるよい食べ物が見つかるといいなと思います。

 

 

次の記事でも、

時間栄養学の小ネタをご紹介したいと思います。

 

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この記事を書いた人

村上裕梨
村上裕梨

1981年生まれ。父の海外赴任に帯同し、中学時代をタイ・バンコク日本人学校で過ごす。 料理好きの母の影響と、バンコクで触れた世界各国の食文化をきっかけに、食の世界に興味を抱く。 「医食同源」──食の持つ力に魅せられ、管理栄養士となる。 委託給食会社で病院給食業務を2年経験したのち、東京都千代田区の急性期総合病院に転職。 以降20年にわたり、乳児から超高齢者まで、ICU・内科・外科・がん緩和ケアを含む29科の栄養管理に従事。 医学雑誌・医学書・論文執筆、学会発表を多数経験。 2025年、義両親の介護を機に退職。 現在は夫と3人の子どもとともに、瀬戸内海の島を拠点としながら東京都千代田区との二拠点生活を送っている。 医療機関を離れた今も、生活習慣病の予防・改善を目的とした食事療法の普及に取り組んでいる。

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村上 裕梨
Yuri Murakami

【プロフィール】

公的医療機関20年勤務
管理栄養士


病院勤務22年

乳児から超高齢者、ICUから内科・外科・緩和ケア病棟まで
29の診療科の栄養管理に従事。

【略歴】

2003年 委託給食会社に就職
2005年 東京逓信病院に入職
2025年 介護のため退職


【保有資格】

管理栄養士免許

《認定資格》(2025年現在)
糖尿病療養指導士、がん病態栄養専門管理栄養士研修指導師、病態栄養専門管理栄養士、NST専門療法士

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