生活習慣病の退治

7. 高血圧対策:味噌汁を摂るベストタイミングはいつ?

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ここでは生活習慣病を退治する方法をご紹介します。

 

 

前回の記事では、

カルシウムを摂るベストタイミングをご紹介し、

カルシウムの吸収率や効率的な摂り方について解説しました。

 

 

今回の記事も、

時間栄養学の観点から、

減塩食のベストタイミングについてご紹介します

 

 

減塩を緩められるタイミングはあるのか?

ベストタイミングを知って、満足感ある減塩生活を送ろう。

 

 

 

日本人の3人に1人は高血圧と言われます。

 

 

日本食は世界的にみてもバランスの良い長寿食ですが、

唯一の欠点は、高塩分な点にあります。

 

 

朝にお味噌汁、漬物、干物、煮物・・・

昼には麺類

ときどき夕食に外食・・・

 

となると、自然に塩分摂取量は高くなり、

諸外国に比べても高塩分なのが我々ニッポン人です。

 

 

2023年の国民健康栄養調査の結果では、

成人の一日あたりの塩分摂取量の現状は、

男性10.7g、

女性9.1gです。

 

 

WHOは、

成人の一日の食塩摂取量は5g未満が望ましいとしているのに対し、

日本人の塩分摂取量は国際的にみても非常に多いのです。

 

 

 

 

日本では、

医師に減塩しましょうと言われた場合、

大抵は「一日6g未満」のことをいいます。

 

 

日本人の現状が10g程度ですので、

4割カットのハードルは高いものです。

 

 

減塩というのは、

調理上のいろいろなテクニックもありますが、

結局は「慣れ」が一番の解決策です。

 

 

これまで大勢の高血圧症の患者さんとお話ししてきましたが、

やはり減塩を始めた初期が一番キツいですよね。

 

 

  • 食べられなくはないけど、満足感がない、
  • 食べられない訳ではないが、物足りない、まずい、
  • こんな料理なら食べない方がマシ・・・

 

 

 

 

時に作り手の女性と高血圧症の男性とで喧嘩になったり、

高齢な方は食が細くなって他の問題も出てきたり・・・

 

 

「いい塩梅」という表現がありますが、

やはり適度な塩味というのは、美味しさの素、

いい塩加減は料理を美味しくするものですよね。

 

 

 

ただやはり、

  • 高血圧があったり、
  • 何の症状も感じないけれど腎臓病があったり、
  • 心疾患や脳疾患があったり、
  • 肝硬変で腹水が溜まっていたり、

 

医師に減塩が必要ですと言われたら、

身体の状況を優先して、

これまでの塩加減を

徐々に減らしていく必要はあるのだと思います。

 

 

 

ただ、よくも悪くも「慣れ」なので、

徐々に減らしていけば

「意外にいけた」と振り返る患者さんは多いものです。

 

 

減塩に関するいろいろな書籍も出ていますし、

レシピ本も売っていますが、

 

 

 

要は、

  • メリハリを効かせる(1品はしっかりした味付けにする)
  • 漬物、麺つゆを控える
  • 味噌汁などは一日1回まで

 

 

これくらいのことをしてしまえば、

これまで食塩が一日9g台の方であっても、

大抵は、7gくらいまでは落とせることが多いです。

 

 

 

「控える」の匙加減が難しいところですが、

徐々にやってみるのが一番の近道です。

 

 

そして、今回の記事で一番お伝えしたいことは、

減塩を少し緩めて良い時間帯がある、ということです。

一体いつなのでしょうか?

 

 

 

 

ヒトの身体は、

時刻によって、

食塩を尿へ排泄する量に違いがあることが分かっています。

 

 

 

時間栄養学の研究では、

朝や昼に比べて、

夕食後に食塩の尿への排泄が多いことが分かっています

 

 

つまり、

ホルモンのリズムが正常な身体であれば、

夕方は、少し食塩の制限を緩めても良いと言えます。

 

 

もしお味噌汁を飲みたければ、

朝より夕食の方がオススメ、ということです。

 

 

昼行性の動物としては、

朝は、仕事をしたり動いたりするために、

血圧が高くなりやすいのは当然かもしれません。

 

 

 

 

たとえば、

朝・昼は、漬物を控えたり

魚は干物ではなくて、塩を振られていない魚を焼くとか、

昼の麺つゆは控えるとか、、、

 

でも夕食は少し緩和しても良さそうだ、

という時間栄養学の研究は、

高塩分民族ニッポン人にとっては朗報だと思います。

 

 

 

我々は元々、昼行性の動物ですから、

朝は血圧が上がりやすい、

でも夕食後は食塩の尿中排泄量は多めだから、

塩分制限は少し緩和できるな、

 

 

ということをヒントに、

少しずつ食塩を減らしていくのが賢いやり方であると思います。

 

 

 

塩は、最低何g摂る必要があるかご存知ですか?

ヒトに必要な食塩摂取量は・・・

 

 

ヒトにとって必要な食塩はどれくらいでしょうか?

 

 

 

 

 

なんと、

 

2g程度で足りてしまうそうです。

 

 

 

活動量や気温によって上乗せする必要がありますが、

ヒトの体液バランスや神経伝達など、

生理的に必要な塩は1.5〜2gだと言われています。

 

 

 

病院では、医師から「一日食塩2gの病院食を出してほしい」

というオーダがたまにきます。

例えば、肝硬変に伴う難治性腹水の患者さんに対してです。

 

 

 

一日食塩2gの食事を実現しようとすると、

基本的には、

 

  • 塩を含む調味料なし
  • 塩が添加されている加工食品なし

 

ということになりますが、

この2点を取り入れたメニューでは、

食品自体に含まれる食塩のみで1.5g程度に収まります。

 

 

 

これらを考えると、

私たちはやはり食塩を摂り過ぎているのだと思います。

塩はもっと減らして良いと思います。

 

 

 

 

起床後に摂る朝食は、

味覚も一番敏感なタイミングですので、

減塩チャレンジに最適な食事は、朝ごはんかもしれません。

 

朝から始めると

「減塩してるよ〜」とニコニコ教えてくれる患者さんも多くいます。

 

 

 

朝ごはんの調味料はぐぐっと、

思い切って減らしてみるのがおすすめです♪

 

 

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この記事を書いた人

村上裕梨
村上裕梨

1981年生まれ。父の海外赴任に帯同し、中学時代をタイ・バンコク日本人学校で過ごす。 料理好きの母の影響と、バンコクで触れた世界各国の食文化をきっかけに、食の世界に興味を抱く。 「医食同源」──食の持つ力に魅せられ、管理栄養士となる。 委託給食会社で病院給食業務を2年経験したのち、東京都千代田区の急性期総合病院に転職。 以降20年にわたり、乳児から超高齢者まで、ICU・内科・外科・がん緩和ケアを含む29科の栄養管理に従事。 医学雑誌・医学書・論文執筆、学会発表を多数経験。 2025年、義両親の介護を機に退職。 現在は夫と3人の子どもとともに、瀬戸内海の島を拠点としながら東京都千代田区との二拠点生活を送っている。 医療機関を離れた今も、生活習慣病の予防・改善を目的とした食事療法の普及に取り組んでいる。

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村上 裕梨
Yuri Murakami

【プロフィール】

公的医療機関20年勤務
管理栄養士


病院勤務22年

乳児から超高齢者、ICUから内科・外科・緩和ケア病棟まで
29の診療科の栄養管理に従事。

【略歴】

2003年 委託給食会社に就職
2005年 東京逓信病院に入職
2025年 介護のため退職


【保有資格】

管理栄養士免許

《認定資格》(2025年現在)
糖尿病療養指導士、がん病態栄養専門管理栄養士研修指導師、病態栄養専門管理栄養士、NST専門療法士

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