生活習慣病の退治

9.食後高血糖を抑えれば眠気覚ましのコーヒーは不要②

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この記事では、生活習慣病を退治する方法をお伝えします。

 

 

前回の記事では、

血糖コントロールの基本のキ、第一弾をお届けしました。

 

 

基本のキを三つご紹介しますが、

これを知れば、

これまでよりももっと楽に、

血糖コントロールをできるようになると思います。

 

 

スパイク高血糖は老化を進めますので、

糖尿病のない方も、

糖質の基本を知ることで健康寿命の延伸につながります。

 

 

では早速、糖質の基本のキ、第二弾をお届けします♪

 

 

 

栄養素の何%が、血糖に変換されるか知ってる?

ここを押さえれば、血糖コントロールも気楽にできる☝️

 

 

教科書的なお話を少し。

 

 

 

五大栄養素という言葉を、聞いたことはありますか?

 

 

 

ヒトが生きていく上で欠かせない栄養素のことです。

 

  • 炭水化物
  • タンパク質
  • 脂質
  • ビタミン
  • ミネラル

 

 

この5つのうち、エネルギーを生み出すのは

先頭の3つです。

すなわち、炭水化物・タンパク質・脂質です。

 

 

下の二つ(ビタミン・ミネラル)は、

先頭の3つがうまく代謝されるように手助けする栄養素です。

 

 

 

エネルギーを生み出すのは、先頭三つだけ。

 

では、

この三大栄養素から生み出されるエネルギーの内、

何%が血糖に変換されるのか?

 

というお話をしたいと思います。

 

 

 

 

 

実はこれ・・・

知らない方が多いようです。

これまで患者さんで、「私知ってまーす」という人に

お目にかかったことはないですし、

 

 

同業者でさえ、数字を答えられない人がチラホラいたり・・・。

 

 

ここは、しっかりと押さえておきたいポイントです。

 

 

 

逆にいえば、

ここを押さえてしまえば、

 

「なんで血糖が上がったのか?」

または

「何で血糖があまり上がらないで済んだのか」

 

がわかるようになり、

これまでより気楽に血糖コントロールできるようになると思います。

 

 

 

 

では、いきましょう。

 

 

まず、炭水化物です。

 

 

炭水化物は、前回の記事でもお伝えしましたが、

 

炭水化物 = 糖質 + 食物繊維 です。

 

 

このうち食物繊維は、血糖を上げる作用はあまりありません。

そのため、

炭水化物と一括りにすると食物繊維も含むため、

ここでは、糖質に注目して解説していきます。

 

 

糖質は、前回の記事でもご紹介した通り、3つの種類があります。

すなわち、単糖類・少糖類・多糖類です。

 

 

 

これら、

糖質の血糖への変換率は、100%です。

 

 

 

100%。

 

 

 

糖質を多く含む食品は、我々が主食とするものです。

 

お米、麺類、パン、芋類、果物などに多く含まれます。

 

 

 

つまり、

血糖コントロールの肝は、この糖質にあります。

何といっても100%の変換率ですからね。

主食の量が鍵、ということです。

 

 

 

 

では続いて、タンパク質の変換率をみてみましょう。

 

 

 

 

タンパク質を多く含む食品は、

 

  • 大豆
  • 乳製品

 

です。

 

 

 

細胞の構造を作る材料なので、

お米にも、小麦粉にも、果物にも、ナッツにも、野菜にも

あらゆる食材に含まれますが、

 

 

多く含まれるものは、上記の食品です。

私たちのおかずに多く含まれます。

 

 

さて、

このタンパク質の変換率は何%かというと・・・

 

50〜60%といわれています。

 

 

糖質の半分程度ですね。

 

 

 

 

糖質       100%

タンパク質  50〜60%

 

 

では・・・

 

続いて、脂質をみてみましょう。

 

 

 

 

脂質を多く含む食品といえば、

 

筆頭は、油。

植物オイル、オリーブオイル、ごま油などの、お料理に使う油。

 

 

他には、

ナッツも油脂を多く含みます。

重さの60%くらいは脂質です。

 

 

参考までに、一番多く油脂を含むナッツは、

・マカダミアナッツの80%。

 

ついで、

 

・くるみ

・ピーカンナッツ が70%くらい。

 

・ヘーゼルナッツが60%

 

・アーモンド50〜55%

・カシューナッツ45〜50%

・ピスタチオ45〜55%

 

くらいです。

 

 

ナッツは大体、重さの6割が油、と覚えておくと良いでしょう。

 

 

ナッツ以外では

ベーコンやサラミソーセージ、豚バラ肉

などにも多く含まれます。

 

その他では、バターやマーガリン、マヨネーズなど。

 

 

 

 

これら脂質の、血糖への変換率は、10%です。

 

 

 

 

少ないですよね。

脂質が生み出すエネルギーは、他の栄養素(炭水化物、タンパク質)の

2倍以上ありますが、

血糖への変換率は、たったの10%です。

 

 

 

 

ここまでをおさらいしてみましょう。

 

 

 

【各栄養素の血糖への変換率】

糖質:     100%

タンパク質:50〜60%

脂質:      10%

 

 

 

 

以上を考えると、

血糖コントロールの要は糖質の摂取量にあります。

 

 

食べたエネルギー(カロリー)が同じでも、

・糖質主体であれば食後は高血糖になりますし、

 

・タンパク質主体であれば、

糖質ほどの高血糖にはなりません。

 

・脂質主体であれば、

食後に勢いよく高血糖になることはありません。

 

 

 

エネルギーの多寡と、

食後の血糖は、必ずしも一致するものではないということです。

 

 

これを知っておくだけでもずいぶん気が楽になります。

 

 

同じエネルギーのものを食べたとしても、

 

すぐに血糖が上がるのか、

または

じわじわ上昇して、じわじわ落ちるのか。

 

 

鍵は、この血糖への変換率にあります。

 

 

次の記事では、

栄養素別の

血糖上昇スピードの違いについてお伝えしたいと思います。

 

 

 

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この記事を書いた人

村上裕梨
村上裕梨

1981年生まれ。父の海外赴任に帯同し、中学時代をタイ・バンコク日本人学校で過ごす。 料理好きの母の影響と、バンコクで触れた世界各国の食文化をきっかけに、食の世界に興味を抱く。 「医食同源」──食の持つ力に魅せられ、管理栄養士となる。 委託給食会社で病院給食業務を2年経験したのち、東京都千代田区の急性期総合病院に転職。 以降20年にわたり、乳児から超高齢者まで、ICU・内科・外科・がん緩和ケアを含む29科の栄養管理に従事。 医学雑誌・医学書・論文執筆、学会発表を多数経験。 2025年、義両親の介護を機に退職。 現在は夫と3人の子どもとともに、瀬戸内海の島を拠点としながら東京都千代田区との二拠点生活を送っている。 医療機関を離れた今も、生活習慣病の予防・改善を目的とした食事療法の普及に取り組んでいる。

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村上 裕梨
Yuri Murakami

【プロフィール】

公的医療機関20年勤務
管理栄養士


病院勤務22年

乳児から超高齢者、ICUから内科・外科・緩和ケア病棟まで
29の診療科の栄養管理に従事。

【略歴】

2003年 委託給食会社に就職
2005年 東京逓信病院に入職
2025年 介護のため退職


【保有資格】

管理栄養士免許

《認定資格》(2025年現在)
糖尿病療養指導士、がん病態栄養専門管理栄養士研修指導師、病態栄養専門管理栄養士、NST専門療法士

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